やさしい地域社会を目指して

みなさんこんにちは。今市西地域包括支援センターで看護師をしている阿部です。 当センターに勤務して2年が経ちました。 昨年7月には「認知症地域推進員」の研修を受講させていただき、改めて認知症について学びを深めてまいりました。

みなさんは、認知症にどんなイメージおもちでしょうか?「自分にはなりたくない嫌なもの」ではありませんか?地域の人とお話しする中でも「認知症を予防する方法を知りたい」という声がある一方で、「認知症になったら施設をさがさないといけない。」といった不安をよく耳にします。 認知症と老いは切り離せないものです。認知症は特別な病気ではなく、誰にでも訪れる可能性のある他人事ではない病気なのです。医学が進歩し、近年は認知症の新薬が発売されましたが、認知症の進行の抑制の効果のみでまだ完全に治す事はできません。また、認知症を予防するための食品や運動などさまざまな情報が出ていますが、今はまだ認知症の治療法や予防法は確立されていない現状です。
昨年(2025年)、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となり、認知症の有病率は700万人前後まで増加していると推計されています。日本では65歳以上の高齢者が約5人に1人が認知症になると予測されています。これに伴い、従来の「介護」だけではなく、認知症になっても自分らしく暮らせる「共生」と、発症を遅らせる「予防」の両立がより重視されています。

突然ですが、みなさんの親御さんはお元気ですか?子どもはつい「自分の親はいつまでも元気にしているはず」と思いがちですが、気付けば親も年を取っています。年を取るということは、身体が衰えていくと言うことです。人生100年時代と謳われる現代でも、100歳まで元気に身の回りの事をすべて自分でできる人はごくわずかです。 そこで私たち子どもに必要なのは、親が「できなくなること」に気づく目線です。「親と一緒に住んでいても忙しくて朝と晩だけ顔を合わせない」「遠方に住んでいてなかなか会えない」という生活の中で、「知らないうちに親が認知症になっていて、気が付いた時には自分で食事も摂れなくなっていた」ということも実際にあります。親の変化に早めに気付く感度を持つことが大切です。遠くに住んでなかなか様子を見に行けないという人は、年末年始やお盆に帰省した時がチャンスです。 普段の様子を見ていないからこそ「何だかおかしいな?」と変化に気付きやすいものです。

「認知症は神様からのプレゼント」という言葉があります。年を重ねると、大切な人との別れや身体機能低下など、多くの「喪失」を経験します。そうしたつらい現実を忘れるためにこの言葉があるのではないかと言われています。この言葉は認知症の人の「今」を大切にし希望を見出すための大切な視点を与えてくれています。 孤独やつらい思いをすることは、認知症の進行を早めると言われています。一方で、居場所があり、人との交流の中で笑顔で過ごしている人は、進行が緩やかなことが多いようです。 認知症を怖がり避けるのではなく、誰が認知症になっても優しく笑顔で接することができたら、認知症は怖いものではなくなります。忘れてもいい、うまくできなくてもいい、そんな優しい社会を地域を、私たち一人ひとりの心掛けによって創っていくことがこれからの時代には必要ではないでしょうか。

認知症の症状は十人十色で、人によって大きく異なるため、対処方法も一つではありません。 「何かおかしい」と思ったら、一人で抱え込まずに気軽にご相談ください。かかりつけ医や専門医、そして私たち地域包括支援センターと一緒に考えていきましょう。早いうちに対処できれば認知症の進行を緩やかにで
きる可能性があります。
これからも、地域で暮らしている人や高齢者、そして認知症の人が、住み慣れた地域で自分らしく生活が続けられるようにサポートいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

今市西地域包括支援センター
看護師 阿部幸子