気温や物価が高くなり、大雨も降るなど、生きづらい世の中です。
辛いことばかりで生きるのは大変で悲しいので、辛さを減らす努力がなされますが、なかなか上手くは行きません。
ある意味ではいつの時代もそうだったようです。
それには理由があります。
生命には外からエネルギーを取込む事が必要だからです。動物なら別の生命を食べて消化したり、植物なら光合成したり取り込んだり、それが上手くいかないと苦しむことが多く、生命には辛くなりやすい性質があるのです。
辛くなると苦痛が増し幸福感が減ります。肉体的な苦痛は物や医療である程度は対処できるようになりましたが、刻み込まれた心の苦痛を取り除くのは難しいです。
数千年前から宗教や哲学で多くの賢者が考え、教えが残されていますが、多くの人が達成することは難しく、苦しむ状況は続いています。
医療や介護、福祉の目標は、なるべく不安を減じて、幸福感を上げることです。
完全に達成するのは難しいですが、辛さを和らげるため、幸福感を増すためには、日々の努力を続ける事が大事でしょう。
辛い事は覚えがよい事でわかりますが、人は効率よく生きるために、辛い事、辛い状態を強く記憶します。心に辛い事を刻み込み、2度目は辛さを回避できるようにするのです。なので、辛い思いのみ忘れなかったりします。
しかし、それに縛られ過ぎると、今度はあれも辛いこれも辛いで、辛い人生になってしまいます。他人や物のせいにしたくなります。
適度に忘れること、心配しすぎないことも必要です。辛くても頑張ることと、割り切ることのバランスを取る必要があります。
みんなの幸福と個人の幸福を考えること、医療・介護・福祉を考えることにも必要なものでしょう。
理事長 矢尾板誠一