毎日十数人のリハビリを行い、人と会話する機会が多い職業だと思います。明るく、元気に、丁寧に、穏やかに、少し砕けて会話してみようなど、何が正解かはわかりませんが、考えながら会話をしているつもりです。
就職して10年目となった今もどのように接することが良いのかとても難しいことだとしみじみと感じます。我々リハビリ職員は利用者様に触れることが多く、身体的な距離感はとても近いものとなります。
ですが、心の距離感は簡単に近づけるものではありません。個人の性格や疾患によりコミュニケーションが図りにくい状態であること、職員にどの程度の関係性を求めているかなどでも距離感が変わってくると思います。一概に良好な関係性を築くといってもむやみに距離を縮めることが良いことではありませんし、パーソナルな部分に踏み込みすぎてしまうことは良くないと感じます。
また、身体的な距離感が近いからこそ一定の心の距離感は必要だと感じます。良かれと思って行ったことが裏目に出てしまったり、その反対もあったり、とても難しい課題ではありますが、私なりの答えで接していきたいと思っています。
同じく職員同士の距離感も難しく感じます。年代や職種、性格や価値観、その人の歩んできた人生背景が違えば、社会に対する考え方も違います。その個人が集団となり生活すれば問題は当然起こります。こういうものだ!こうするべきだ!という意見が一致しなければ衝突が起こることもあります。相手が求めるものと自分が求めるものが一致する事の方が少ないのかもしれません。その中で良好な関係を築くことの難しさは誰もが感じていることだと思います。
そもそも良好な関係とはどのような状態のことなのでしょうか。私にはとても難しい課題に感じ、正解がわかりません。
一般社会に当てはめて考えてみれば、こうかなと思う状態はいくつかありますが、その定義や考え方も人それぞれ違うことでしょう。時になかなか関係性がうまくいかないこともあると思います。そんな時は関係を無理に築こうとしなくて良いと思いますが、関係性を悪化させるようなことを避け、仕事をともにする中で自分や周囲に悪影響を与えない程度の関係性・距離感を継続することが大切だと思います。
一度関係性が破綻してしまうと修復が困難となってしまいますが、可もなく不可もなくの距離感が時を経て良い方向へ進むことがあるからです。その中で自身が少しずつ変化していけば良いのではないでしょうか。
環境や人を変えることは簡単なことではなく、自分の価値観や行動を環境に合わせて変えることも大切なことだと思っています。相手に合わせることで問題が回避できるのであれば、歩み寄ることも大切です。人や環境が変わることを待つよりもその方がはやいからです。
もちろんその中で相手に合わせてもらっていることもまた事実であり、感じ取らなくてはならないものだと思います。そして、相手に合わせるといっても都合の良い人間になるということではなく、自分を押さえつけてしまうということでもありません。時に自分の信念、意志や意見を表現できる環境や場所が必要であり、皆で協力してそういった環境が目指せたら良いと思っています。
互いを理解し、尊重し、衝突を避け適度な距離感を保ち、利用者様、職員皆が穏やかに生活できることを願っています。
今市Lケアセンター理学療法士