また歳とって、考えた

我々が存在するリアル宇宙、そこでの事象の根本法則と感じるのは、「時間は一方向にしか流れない事」、と、「時間の経過と伴に全てのものは壊れる方向に変化する事」、である。
生命もそうで、命あるものは時間と伴に必ず壊れてしまう。
40億年以上の昔の地球で、核酸とアミノ酸が偶然にくっついて生命の基が出来、RNA とタンパク質の組み合わせに成長した時にも、時間と伴に崩壊する運命ではあった。
それでも消滅せずに存在し続けるには、「自己複製が出来て壊れても作り直せる能力」が必要であったと考える。自己複製すると少し変異したものが出来たりして、その中でより効率の良いものが多数となり生き残る。
効率が上がる組み合わせが出来ると、その組み合わせが多数になり、共生しながら生き残る。
生命は生まれた瞬間から、「競争して勝ち残る」と「共生して勝ち残る」が求められていた。
その中で勝ち残ったものが、複製を作り、進化して来たので、当然その求めに対応した能力があるものが、今、生きている訳である。我々もまた、その結果として存在するので、競争と共生能力は生まれた時から備わっている。
そしてその能力を発揮して、崩壊せずに存在し続ける道を探し、生きることになっている。
しかし、必ず崩壊して死ぬ運命なので、複製を作る事、つまり子孫を残すことが存続するための絶対条件となる。ごく当たり前だが、この事実はリアル世界の根本だと思う。
人間はその運命から逃れるためにバーチャル世界を作ったのかも知れない。
確かにバーチャルの世界では、時間が一方向に進むとは限らず、元に戻るボタンがあり得、ものは自然崩壊せず、画質や音質も劣化することなく永遠に続く・・・。

理事長 矢尾板 誠一