高齢者の趣味と生きがい

地域包括支援センターのケアマネージャーとして、業務上高齢者(自分も高齢者です)の方々と接する機会が多くなっています。
ケアプランを作成するうえでたくさんの個人情報を収集しますが、その中で趣味は?という質問をしますが、「昔は〇〇をしていたが定年後は何もしていない」と、ほぼ全員の方々が答えます。定年という大きな役割を果たしたことは大変立派なことだし、とても誇らしいことです。
定年になってから、以前行っていたことがなくなり、家族以外は誰にも会わず、やることのない毎日に塞ぎ込んでいる人も多くみられています。
しかし、若い頃の趣味や生きがいをもう一度持つということは、高齢となり体力や気力がなくなっている今では大変なことです。なかには「趣味なんか元々ない」「やる気が起きない」と言う人もいるでしょう。
だからと言って、このまま何もしないでいると体力や気力の衰えから、生活意欲が低下し、早くに要介護状態になる確率が高くなると思われます。
老後の人生を送るにあたり、趣味を持っている人と、趣味のない人との人生の楽しみ方に大きな差があり、それは何歳になっても同じことです。
高齢者にとっての趣味は、単なる楽しむものだけではなく、介護予防にもなるのではないでしょうか。
趣味を始めるにあたり、まず、本人が興味を持てるかどうかが重要です。
若い頃の趣味や特技を再開するとか、又、新しいことを始める場合は一人で出来る簡単なもの、例えば、日記を書くことです。日記を書くということは文章を作るということでかなり頭をつかいます。朝から晩まで何をしたか覚えていないといけないし、毎日の生活の中で日記を書くことを探さなければいけません。日記を書いてつまらないことや、書くことがないなど気づけば、自ずと行動的になるかもしれません。
又、日記を書くことは経済的な負担も少なく、ノートと鉛筆さえあれば器具や道具も必要ないので簡単に始められるのではないでしょうか。
本来なら外出を伴う趣味が一番良いのですが、今般、コロナ禍の中での外出自粛や、年を重ねるにつれ体力に不安が出たりして外出の機会が少なくなり、自宅で過ごす時間が多くなっています(私自身も含めて)。
生きがいのためにも高齢者には趣味が必要なのです。
このまま何もしないでボーと生きていると、〇〇ちゃんに叱られますよ。

介護支援専門員 田部井一彦