よい姿勢とよい歩き方を身につけよう

今年も紅葉の時期が来て、観光客の方を見かけるようになりました。
観光に来ている人達の歩き方を見ていると、ゆっくり歩きながら紅葉を楽しむ人や次の目的地に行くためか早足で歩く人などいろいろな歩き方があります。また、私の仕事柄か、その人の歩いている姿勢も気になってしまいますね。
人により姿勢や歩き方は様々ありますが、誰もが年をとっても、いい姿勢で歩いて過ごしたいと思っているはずです。そのため、今回は健康で過ごせるようによい姿勢とよい歩き方ついて考えてみたいと思います。

年をとっていくと若かった頃と比べて姿勢や歩き方が変わっていきます。その原因のひとつは、筋力の低下と柔軟性の低下があります。
特に高齢者に多い姿勢としては、「前傾姿勢」いわゆる「猫背」があります。猫背の原因としては、胸の筋肉の柔軟性が低下し、縮んでしまった状態が考えられます。その状態が長く続いてしまうと、腰も曲がりやすくなります。
一方、猫背にならないように「反った姿勢」がいいのかと言うと、「反った姿勢」もいい姿勢とは言えません。原因としては、腰の筋肉が過剰に働いてしまっている場合やお腹の筋肉が弱い場合が考えられ、おなかを突き出した姿勢となってしまいます。
「よい立ち方」のポイントは「お尻の筋肉である大殿筋を意識し、肛門を締めて立つこと」です。また、肩に力を入れずに、下腹部に力を入れて立つように心がけて下さい。そうすることで、曲がっていた背中や膝が伸びます。また、背中が伸びれば胸もまっすぐになってきます。

次に歩き方です。
高齢者の歩行の特徴としては、大腿四頭筋や股関節伸筋(大殿筋)などの下肢全体の伸筋の筋力低下により歩幅が狭くなり、歩くスピードが遅くなります。また、股関節や膝関節などの下肢の関節の動きが悪くなり、足が上がりにくくなることでつまずきやすくなります。つまずきやすくなる原因には、筋力の問題だけでなくボディイメージが影響していることもあります。大きな障害物には意識的に足を持ち上げるため、つまずくことは少ないですが、無意識に歩けてしまうような段差(敷居など)では、思ったより足が上がっていないためにつまずいてしまうことがあります。
そして、姿勢や関節の動きが悪くなってしまうと他の機能で代償しようと本来使わないはずの部位が過剰に働くようになり、筋疲労を起こしやすくなるため、長い時間歩けなくなってしまうことがあります。

よい歩き方をするためには、まずよい姿勢で立つことが大切です。よい立ち方から歩き始めないと、足の力がしっかり発揮できなくなってしまいます。歩き出す際には、前足はかかとからつき、後ろ足は足の親指でしっかり蹴りだすことを意識します。これを意識することで、自然と背筋が伸び、疲れない歩きができるようになります。
やはり、いくつになっても若々しい姿勢を保ち、きれいに歩いて健康を維持したいものですね。

理学療法士 河原崎 慎也