運動習慣を身につけよう

いよいよ1年延期されていた東京オリンピックが始まりました。

東京は緊急事態宣言下ということもあり、ほとんどの競技が無観客で行われる異例の形です。

新型コロナウイルスがどの程度の期間で収束するのか、ほとんど予見不能ですが、当面、気を緩めることができない状況が続きそうです。引き続き感染予防に努めてまいります。

今回のコラムは、行動が制限され、感染への不安を感じる中、健康的な生活を送るために心がけたいことをお伝えさせていただきます。

高齢になっても運動によって筋肉量を増やし、骨密度を維持することはできます。80代以上の高齢者でも運動によって身体の機能やメンタルは改善することがわかっています。骨粗鬆症の患者さんでも、骨折が回復した後に運動を始めないと、次の骨折に繋がってしまいます。

高齢者が運動する際には、特に身体の負担や怪我に気をつける必要があります。急激な運動量の増加は心臓に負担がかかりますので、以下の3点に注意して実施して下さい。

1.少しずつ活動量を増やす

散歩を習慣にする、階段の上り下りをするなど、無理のない範囲で、日常の活動量を徐々に上げることから始め、少しずつジョギングなどに挑戦すると良いです。

しばらくブランクがある方は、軽い運動を少しずつ行い、身体を慣れさせます。

2.体調を考慮する

血圧、脈拍、食事量、睡眠はいつもと変わりはないか、身体に違和感はないか、その日の体調に応じて、運動量や内容を調整しましょう。少し動いただけで息切れしていないかなど身体のサインを見逃さないようにしましょう。

3.「できること」「できないこと」を把握する

筋力や柔軟性、バランス能力の低下などの個人差は、高齢になるほど大きくなります。どのような動きが困難か、どの程度で痛みが生じるかを把握しましょう。

骨密度を高めるために、激しい運動は必要ありません。散歩など日常の活動量を上げることが最も効果的です。外で日光を浴びれば、骨を強くするビタミンDが体内で合成できます。大切なのは足の筋肉や骨に力が加わる動きをすることです。家の中で立つ動作を増やす、階段の上り下りをするなどでも十分です。

毎日無理をせずに、できる範囲で少しずつでも継続することが大切です。

継続的に運動することのメリットは、サルコペニア、フレイルの予防、生活習慣病などによる死亡リスクの低下に加え、脳の活性化にも効果があります。骨や筋肉を強くするだけでなく、意識的に身体を動かすことで脳の神経が働き、細胞が増えることもわかっています。高齢者でも効果が得られます。

また、高齢者には社会参加が大切です。最近の高齢者は、よく運動して活動的に過ごしている人が多いのですが、趣味やボランティアを通じて、社会と関わりを持ち続けている人は、いつまでも健康的でいられます。社会の中でやりたいことを見つけることが大切です。毎日楽しく続けられる運動習慣こそが、丈夫な身体を作る近道となります。

理学療法士 中野朋之