私は心理学者では無いが、確かに不安は心身に良くないと思う。
不安が強くなると、辛いし痛いし苦しいし・・・、不穏にも病気にもなる。不安の反対語は安心。安心できると楽しいし楽だし・・・。だから不安を減らし安心できる様に人は行動する。だが、安心し切ることは危険と隣り合わせだ。生きている間は、何時でも周りを警戒して、気を抜かず、少しの事にも反応する事が求められている。絶えず周りの情報を得て危険を未然にキャッチ出来る様に、本能的に気を張る様に出来ていて、脳が安心状態に長く止まる事は許されず、本能を司る脳の部位が緊張感を生み出す様に促している。言うなれば、不安が絶えず湧いて来て、生きるための行動を起こす様にできている。そして不安を解消するために情報を集め、状況に対応しで行動し、問題を解決しようとする。ある意味、無理やりがんばらされる。
コロナ禍での事件を見ていると特に感じるが、特に日本人は遺伝子的にも世界で最も不安を感じやすくリスクを取りたがらない民族だそうだ。不安の解消のため集団を作りたがり、集団行動が得意で、集団の中にいる事で安心を得ている。集団を作れず一人でいると、強い不安が湧く。必要に迫られて集団を作るが、一旦集団を作ると、集団を守るためには内部規律が必要になり、規律を守れないと集団から排除される様になる。不安を解消するために、良く分からなくても犠牲を払い集団を維持する。私たちはそんな中で生きている。だから、生きるのは辛いことが多いのかも知れない。認知症では不安に取り憑かれると、家に帰りたいと言う人が多いが、家とは、不安のない、自由で辛くない、生まれたての赤ん坊の時の記憶なのだろう。それは既に失われていて、戻る事はできない。時間は一瞬たりとも歩みを止めない。不安を抱えていても大丈夫と自分に言い聞かせて、過去と現在と未来の自分と世界を信じて、前に進むしかないと思う。
何を信じるかは人それぞれだが、信じられることが重要だろう。
理事長 矢尾板 誠一