高齢者てんかんと認知症

あけましておめでとうございます。令和2年になりました。
新年号は予想外でしたが、少しずつ慣れてきているところで、新しい時代にふさわしいのかもしれません。約半世紀ぶりの東京オリンピック、スポーツを観るのが好きな私はとても楽しみですが、混雑が恐ろしく、やはりテレビか。。。と思うこの頃です。

さて、今回は昨年12月に東京で勉強してきた、高齢者てんかんと認知症についてのお話しです。
てんかん、というと皆さんはまず痙攣したり意識を失ったりする発作で、子供の頃に発症するようなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。(私も学生時代、勉強する前はそうでした。)
しかし、多いのは加齢や脳卒中などが原因のてんかんで、高齢社会では特に認知症との関連が注目されるようになりました。
教科書的なてんかんの定義を、簡単に言いますと、脳の神経細胞たちが過剰に興奮してしまい、それが一度でなく何度も繰り返すことで、悪い癖になってしまう慢性的な病気です。
痙攣して意識を失う発作時は、救急車などで病院へ行って治療を行いますが、てんかん自体が命に関わることはほとんどありません。予防治療でなるべく変わらない生活を送ってもらうことが目標となります。
それに対して、高齢者で多いのは倒れない発作で、少し変ですがいつも通り生活しているため、周りの人が見てもすぐに気付かないことが問題です。特に高齢者では、治療が遅れて脳の細胞たちが壊れると、修復できずに認知機能が落ち、生活に支障が出てしまいます。逆に認知症が原因でてんかん発作を起こすこともあり、「鶏と卵どちらが先か」と同じ様な話ですが、一度起こると悪循環となるのは間違いないです。(研究報告があります)

ではどんな発作で、どうすれば分かるかですが、まず寝ている間は分かりません。(ただし発作はあり、起きている時は普通でも、大事な記憶が抜けることがあります。例外として悪夢や夢遊病のような症状が出るレビー小体病があります。)
そして起きている時、ボーッとしていて声をかけても曖昧な返事しか返って来なかったり、会話が成り立たなかったり、同じ行動を繰り返したり、急に怒り出したりなどの症状があります。
認知症と見分けるポイントとして、ずっと続かない場合(おかしくなったり普通に戻ったりする)や、前兆がある場合(嘔気や胃不快感、変な匂いやまぶしいなどの異常感覚、その他様々)等が知られています。
まずはてんかんを認知症と同じように身近に感じ、疑ってもらうことが大切です。何かおかしいなと思いましたら、ぜひ外来にお越しください。症状に当てはまるかどうか分からないという場合でも、簡単なチェックリストがあります。(症状の動画も見られます)。新しい抗てんかん薬も出てきており、生活に支障があれば関連施設でのリハビリも可能です、ご相談お待ちしてます。

医師 矢尾板 亮