お餅について

年の瀬を迎え、令和元年も残すところあとわずかになりました。お正月が近づいてきましたので、今回は皆様の大好きなお餅の話です。
餅を食べる行事は、正月以外も節分や桃の節句、端午の節句と餅の形を変えてあり、日本の食文化に欠かせない良き伝統となっています。
しかしながら、餅をのどに詰まらせる事故が毎年必ず起きています。東京都内では2019年1月1〜2日にかけ、17人が搬送され、その内2人の高齢者が亡くなっています。東京だけでこれだけいますので、全国ではかなり多くの事故が起きていると思われます。

餅が詰まる原因は二つ考えられます。
一つ目は、餅自体の性質です。他の食べ物とくらべ、噛み切りにくく、くっつきやすいため、のどに詰まりやすい性質があります。
二つ目は、食べる人の問題です。高齢者は、唾液が減少し口の中が乾燥しやすいため、お餅がよりくっつきやすくなります。さらに加齢により噛む力や飲み込む力が弱くなることでのどに詰まりやすくなります。

餅による事故を防ぐために、次の点に気を付けてみてください。
①餅は小さく切ってから食べる
②餅を食べる前に、お茶や汁物を飲んでのどを潤しておく
③餅はよく噛んで、唾液とよく混ぜ合わせてから飲み込む
とにかくよく噛んで唾液をいっぱい出して飲み込むことがポイントです。また1人で食べさせないで、ゆっくりよく噛んで食べるように声かけしていただくことも重要です。
もし詰まってしまった場合の対処法は、日本医師会のウェブサイト「救急蘇生法 気道異物除去の手順」を参照してください。

私の個人的な考えですが、医師から飲み込みに問題があると言われた方や、高齢で噛む力や飲み込む力が弱っている方は、餅を食べないという選択をしてもいいのかなと思っています。日本の食文化ももちろん大切ですが、命あってのことです。餅の変わりに、食べやすいプリンやゼリー、ケーキ等を食べてみてはいかがでしょうか。

それでは、よいお年をお迎えください。
 
言語聴覚士 池田知弘