「GI」を知ると、食事がもっと安心に

12月に入り、寒さが一段と厳しくなってきました。温かい食事がおいしく感じられる季節ですね。行事食や甘いものが増える機会も多く、食後の体調が気になることもあるかもしれません。特に高齢者は、血糖の上がり方や食後の体調変化に影響を受けやすいため、毎日の食事を少し工夫することが安心につながります。そんなときに役立つのが、「GI値」という食品の性質を示す知識です。

GI値(グリセミック・インデックス)とは、食後の血糖値がどれくらい上がりやすいかを示す指標で、数値が高い食品は血糖値が上がりやすい「高GI食品」、ゆるやかに上がる食品は「低GI食品」と呼ばれます。どちらが良くてどちらが悪い、ということではありません。高GI食品には「エネルギー補給がしやすい」「咀嚼しやすく食べやすい」という魅力があり、低GI食品には「血糖の上昇が穏やか」「ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富」という魅力があります。食品の性質を知ることで、季節や体調に合わせた食べ方ができるようになります。聞きなれない言葉ですが、知っておくと、食べ方や組み合わせの工夫に役立ち、食後の体調を安定させるヒントになります。高齢者の場合は、食事の消化や血糖の上がり方が個人差で大きく変わるため、GI値を意識することが特に安心感につながります。

■ 高GI食品の特徴と活用法

高GI食品は短時間でエネルギーに変わるのが特徴です。白米やパン、うどん、じゃがいも、果物、和菓子などは、活動量の多い時間帯や、寒い季節の体温維持に向いています。甘い果物やお菓子は、食事の楽しみとして取り入れることで心の満足感を高めることもできます。朝食に白米やパンを食べると、体がすっきり目覚めやすくなり、午後の活動にも必要なエネルギーを効率よく補給できます。高GI食品の特徴を理解して、食べるタイミングや量を工夫すると、体調への影響を予測しやすくなり、安心して取り入れることができます。

■ 低GI食品の特徴と活用法

一方、低GI食品はゆっくり吸収されるため、血糖の変動を穏やかに保ちやすいのが特徴です。野菜、豆類、海藻、きのこ、乳製品、全粒穀物などは、満腹感が持続しやすく、栄養バランスの調整にも役立ちます。例えば鍋物にきのこや豆腐を加えたり、野菜や海藻を添えたりするだけでも、食後の血糖の上昇を穏やかにすることができます。低GI食品は毎日の食事に無理なく取り入れられ、安心して食べられる選択肢です。さらに、たんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラルが豊富なものが多く、高齢者の筋肉や免疫力の維持にも役立ちます。

GI値を理解して食事に活かすことは、単に血糖値を意識するだけでなく、食材の特徴や組み合わせを知ることにもつながります。寒さが増すこの季節、温かい食事を楽しみながら食品の特徴や組み合わせを意識するだけでも、毎日の食事がより心地よく、満足感のある時間になります。GIを知ることは、食事の安心感にもつながる、大切なヒントなのです。

GI値は、健康づくり、生活習慣病予防、満腹感の調整など、さまざまな視点で役立つ知識です。専門的なようでいて、実は日常の食事と深くつながっています。日々の献立に必ず取り入れるべきというより、「こういう性質があるんだ」と知っておくことで、食品の選び方や組み合わせを考えるヒントになります。知識を活かすことで、食後の体調の変化を予測したり、栄養バランスを整えたりすることができ、利用者本人はもちろん、家族や職員にとっても安心感が生まれます。食べることを楽しみながら、健康的な食生活に繋げていくことで、毎日の食事をより良いものにしていきましょう。

見龍堂メディケアユニッツ 管理栄養士 川口萌夢