夏の疲れを残さぬように

9月が訪れ、秋の気配が徐々に深まるとともに、日中はまだまだ暑いですが次第に和らいで、夜風が心地よく感じられるようになります。この季節、澄んだ空気の中で夜空を見上げると、星々がひときわ美しく輝き、その広大な宇宙に心が引き込まれるような気持ちになります。
秋の夜に思い出していただきたいのが、「ペイル・ブルー・ドット(淡い青い点)」という一枚の写真です。1990年2月14日、NASAの探査機ボイジャー1号が、地球からおよそ60億キロメートル離れた地点から撮影したこの写真には、地球がわずかな青い点として宇宙の暗闇の中に浮かんでいる姿が写されています。

この写真が私たちに伝えるのは、宇宙の広大さに対して私たちの地球がいかに小さく、儚い存在であるかということです。(写真はNASA参照https://science.nasa.gov/resource/voyager-1s-pale-blue-dot/)この写真を見た天文学者のカール・セーガンは、「その小さな点が私たちの家です。その中で、すべての人々が生まれ、愛し、争い、そして夢を抱いて生きてきました」と語りました。この言葉には、宇宙の広がりの中で私たちの存在がいかに小さくても、その小さな点の上で繰り広げられる無数の物語が、どれほど尊いものであるかが示されています。

9月の澄んだ夜空を見上げるとき、この「ペイル・ブルー・ドット」を思い浮かべていただければと思います。宇宙の無限の広がりの中で、地球という小さな点の上に存在する私たち一人ひとりの人生は、かけがえのないものです。その存在の尊さに思いを馳せることで、日常の中に埋もれがちな大切な価値を再確認することができるかもしれません。
そんな地球上に住む私たち、「今年も頑張って乗り切ったね」と称え合いたいくらいとても暑い夏でしたし、まだまだ暑いことでしょう。この季節の変わり目には、どうかご自愛ください。夏の間に蓄積した疲れや、日中と夜間の気温差によって、体調を崩しやすくなっています。その一つに夏風邪と呼ばれるものがあります。
夏風邪の予防には、いくつかの対策を心がけることが大切です。まず、夜間の冷え込みから体を守るため、薄手の上着を持ち歩いたり、適切な寝具を用意することが重要です。また、体を冷やさないように温かい飲み物を摂ることも効果的です。次に、栄養バランスの取れた食事を心がけ、特にビタミンCやビタミンD、亜鉛を含む食品を摂取することで、免疫力を高めることができます。さらに、十分な睡眠を確保し、適度な運動を取り入れることで、疲れを残さず、体力を維持することができます。また、冷房を効かせた部屋でも換気を心がけましょう。

この秋の夜空を見上げながら、宇宙の広がりの中に自分の存在を感じるひとときを過ごしていただければと存じます。そして、その時間をより健やかに、充実したものにするために、夏風邪の予防にも心を配りながら、穏やかな日々をお過ごしください。

看護部長 中尾 健一