人間には二つの面があると思う。
この世に生きている地球型生命体から出る面と、脳の中に構築された人間像から出る面だ。地球型生命は極端に言うと2種に分類される。
宇宙からのエネルギーを用いて物質を加工して生きて行く者と、他の生命を食べて、他の生命のエネルギーを奪って生きて行く者だ。
前者は植物が代表。よりエネルギーを得やすい場所を得るために競争し、よりエネルギーを効率良く利用するために進化してきた。
後者の代表は動物。より効率良く他の生命を食べて、エネルギーを吸収できる様に進化してきた。人間も動物である以上、他の生命を食べて生きるしかない。
植物、動物、細菌、カビからでも、他の生き物のエネルギーを奪って、エネルギーを得て生きて来た。この生き方は、戦 って、勝って、相手を倒して奪い取り、生き残る事が宿命だ。
エネルギーが不足すると辛い感覚が脳に送られ、エネルギーが獲得でき満たされると喜びと安楽が感じられる。
生きる為の欲が湧き、其れを満たしたいと思う。
そして、そう行動する強い衝動が生じる。
他方、脳の中に構築されるバーチャルな人間像は理想的になり得る。
“生きるため”から離れる事もでき、人間が在るべき姿を追求できる。
生命を殺す事は良くないと言えるし、人のために尽くしたいとも思える。
“何時でも何処でも変わらずに微笑んでいられる”その様に在りたい、在るべきだと考えたのは人間(だけ?)である。
しかしながら、宇宙の基本法則は、時は止まらず物は移ろい、絶えずエネルギーを獲得し続けなければ、維持も出来ない、である。
エネルギー獲得を、他の生命を食べる事に依らない様に出来れば、そして脳を生命維持の縛りから解放して教育し、人間の理想を脳内に作り上げられれば、争いの無い平和で幸福な世界が作れるかも知れない。
他の生命体に依らずに、生体にエネルギ ーの十分な供給を可能にできれば良いのだが、人間の知恵はそこまで到達できるのだろうか?科学の進歩により、ある条件下では可能となっているが、一般的では無い。今は二つの面の矛盾に挟まれて行くしかないのだろう。
戦いたくは無くても戦うしかなく、戦ったら、勝って獲得して、生きて行く事が定めとなっている。
数千年間、多くの素晴らしい人物が悩み、解決を図ったが、依然として全体的には未解決。でも何故か、倒れても、倒れても、無理難題に挑戦が続いている。
理事長 矢尾板 誠一