その人の生活で大切なこと

今年も残り1ヵ月となり、コロナウイルスが話題なってから、もう2年になろうとしています。コロナウイルスが広がってから施設では直接の面会や外泊ができなくなりました。私は作業療法士として、日々リハビリをしています。リハビリ中、利用者様から「家族と会いたい」「家に帰りたい」等の話が多く聞かれました。私はその話になると、「その人にとっての作業」について考えることがあります。

作業療法の勉強をする際に一番初めに習うことは作業についてです。作業とは、その人がやりたいこと、生活にとって必要なこと、それを行うことでその人らしい生活を送ることができることとなります。具体的には、趣味、仕事、家事、遊び、日常生活動作等が入ります。
例えば、私にとっての作業は映画やテレビを観ること、家の観葉植物の世話をすることです。これが私の生活にとって大切なこととなります。なんだか定年後のおじいちゃんの様な生活ですね。これらのことが行えるようになると、私のQOL(生活の質)が上がり精神的に豊かな生活を送る事ができます。

始めの話に戻り、利用者様の「家族に会いたい」「家に帰りたい」という言葉には一体どんな作業が隠れているのでしょうか。家での生活の方が落ち着く、家族団らんがしたいということだけでしょうか。もしかしたら、畑仕事がしたい、ペットの世話をしたい、庭の手入れをしたい、私の様に好きな映画を観たいのかもしれません。その答えを見つけるには、沢山会話をしたり、家族から聞いたりしてその人を深く知る必要があります。またその答えを知った時どのように作業療法士として介入していくべきかを考えます。その作業は施設内で行えることなのか、どんな環境が必要か、どんな能力が必要か、それらを整える為にはどんなリハビリが有効なのか。作業療法士としての力量が問われるところですね。私は学生時代に授業で「作業療法はどんな作業だったとしても対応できる。できないのは作業療法士の力量が足りない時だ」と作業療法の可能性を教えてもらいました。

利用者様に限らず、皆様も「作業」があると思います。上手に話がしたい、スポーツが上手くなりたい、料理が上手くなりたい。
皆様にとっての「作業」とは何でしょうか?

コロナウイルスが落ち着いてきましたが、まだまだ気を抜かずに感染対策を頑張りましょう。来年はコロナウイルスで出来なかったことが、行える年になるといいですね。

作業療法士 藤野直也