科学的介護が目指すこと

新型コロナウイルスが蔓延して2回目の夏となりました。毎日せっせとワクチン接種を進めていますが、変異株が猛威を振るい、終息まではまだ少しかかりそうです。
熱中症には注意して、他人と接触しない場所では、マスクを外して過ごしましょう。
さて、本題ですが今年度は介護報酬改定がありました。コロナ前から予想されていたことですが、LIFEという介護現場からのデータ提出が一つの大きな特徴です。正直に言って、システム導入に費やす労力は多く、コロナ禍がさらに忙しく感じますが、科学的介護とは何か、前向きに考えてみました。

①まず、介護の質を基本的なデータだけで評価するのは困難です。
疾患の治癒や症状の緩和等、比較的明確な目標を立てやすい医療に対して、介護は個々の人生に寄り添う割合が大きく、同じような状態でも希望に応じてサービス内容が異なってきます。(もちろん医療も人生に寄り添って目標を変えていきますが。)
例えば、老衰で最終的に寝たきりになると、生活動作の点数は落ちますが、理想的な介護が提供されていなかった訳ではないと思います。

②ただ、データ化には意味があります。
全体で統一して定期的な評価行うことで、多くのデータが集まり、似たような状態の方が生活で注意するべきポイントなどを、今後のケアに反映できることで、介護の質が底上げされることが期待されています。

③また、データ収集(ビッグデータ)からイメージされるのはAI技術の発達です。
残念ながら現在提出している情報からはあまり期待できませんが、将来的にはデータを入力することで、自動で一般的なサービス計画が提案されたり、見守り介護ロボットが要注意ポイントを自習したりなど、現場の負担軽減が望まれるところです。

今後は保険料の削減といった財政的な側面が目立つものではなく、本来目指すべき、介護現場のさらなる科学技術発展を見据えた内容になることを祈って、せっせとデータ入力も進めていきたいと思います。

医師 矢尾板 亮