mRNAワクチン、医薬技術の進歩

新年明けましておめでとうございます。昨年は大変でしたが、あっという間に過ぎてしまったようにも感じられます。今回は話題の新型コロナウイルスワクチンについて、予定通り接種が行き渡り、今年こそ自粛緩和やオリンピック開催ができるといいですね。
まず「ワクチンとは何か」、報道でも解説されている通り、主にウイルスに対する免疫を強制的につけるための薬剤の総称で、弱毒ウイルスや人工的に作られた蛋白質など中身には様々な種類があります。今あるのは注射がほとんどで、インフルエンザも毎年痛くて嫌ですが、鼻から吸入するタイプも開発されてきています。
問題の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、開発が急がれる中でワクチンも新型となりました。大まかな違いは、今まではウイルスの一部を切り取った蛋白質などから精製していたのに対して、今回は設計図(DNA)から作られるmRNAという物質をもとにしています。mRNA薬を接種すると、ウイルスが侵入・増殖する時に使う蛋白質に対する免疫がつき、増える前に退治できる可能性が高くなります。
効果は臨床治験で示されている通り非常に良いようで、一般のワクチンより長持ちするという知見もありますが、皆さんが一番気になるのは安全性だと思います。
毒性がないか、アレルギーが起きないか、予想できない副作用がないかなどです。
① 毒性については、医薬技術を信じてもらうしかないと思います。基本的に体内に入れると危険な成分は開発に用いられないでしょう。
② アレルギーについては、起きます。体外から強制的に免疫をつけさせるので、過剰な免疫反応が起こりやすい体質の人は、一定の確率でアナフィラキシー(重症なアレルギー)となるので接種を避ける必要があります。ただし、治療可能な病気であり、他のワクチンと比較して特別に多いわけではないと思います。(研究結果が待たれます。)
③ 予想ができない副作用についても、否定はできません。アレルギーと同様でどんなワクチン・薬でも稀に起こります。強制的に異物を入れて反応を起こすので、痛みや不安などとも関連して、まだ完全に解明できていない症状が出る可能性はあります。
まだ説明が足りない部分はあると思いますが、以上のような理由で、今回の新型コロナウイルスワクチンの接種は今までのものと比べて危険なわけではないので、接種推奨したいと思います。多くの人が接種して感染を抑えられれば、避けざるを得ない方々の感染リスクもかなり下がります。この第3波を越えればようやく光が見えてくるので、皆で力を合わせてもうひと踏ん張りしていきましょう。

2021年1月 医師 矢尾板 亮

後書き: 将来的にはナノマシンを体内に飼い、体に必要なワクチンや薬をその都度作ってくれると楽だなとSFの世界を妄想しているこの頃です。