新型コロナウイルスを巡り、緊急事態宣言後いったんは減少していた感染者数が再び増加しています。
当面、気を緩めることができない状況が続きそうです。引き続き感染予防に努めてまいります。
今回のコラムは健康寿命をのばすために、寝たきりの原因となる「サルコペニア」「フレイル」を予防する方法をお伝えします。
いつまでも元気で長生きをしたいと誰もが思うことですが、そのためには、寝たきりにならないような生活習慣を送ることが大切です。
健康寿命とは「健康上の問題による日常生活への影響がない期間」のことを言います。
近年、日常生活に制限のある期間の平均は男性が約8年から9年、女性が約12年から13年と言われています。例えば、65歳の時に脳梗塞を発症し、右半身麻痺がみられ、要介護3と判定されたとします。この方の場合、65歳までが健康寿命となります。健康寿命がのびれば、健康上の問題がある期間が短くなり、その分医療・介護を利用する期間が減り、社会で活躍することができます。
心身共に元気で、社会的役割を担い、その人らしい生活を送るためには、健康寿命がのびるように、健康の維持増進、寝たきりの予防を行うことが重要です。
「サルコペニア」とは、握力や体幹・下肢筋力など、全身の筋力低下が起こること、また、歩くスピードが遅くなる、杖が必要になるなどの身体機能の低下が起こる事を指します。寝たきりや転倒、骨折などのリスクが増える状態のことです。
「フレイル」とは、虚弱という意味です。加齢と共に心身の活力、筋力や認知機能などが低下した状態で、発症すると要介護状態に進みやすくなります。フレイルは健康と要介護状態の中間です。
サルコペニアは筋肉量や筋力の低下による身体機能の低下であることに対し、フレイルは身体的だけでなく、精神・心理的、社会的な衰弱や虚弱を含みます。
「サルコペニア」「フレイル」を予防するための食事として、筋肉を作るための良質なタンパク質、骨を強くするためのカルシウムを摂取しましょう。
具体的には、肉、魚、卵、大豆製品などの良質なタンパク質、牛乳やヨーグルトなどの乳製品からカルシウムを意識的に摂取することが大切です。
運動では、ウォーキングやプールでの歩行などの有酸素運動やレジスタンス運動がお勧めです。
レジスタンス運動とは、スクワット(両足を肩幅に開いて立ち、椅子の背もたれや机などを持ちお尻をまっすぐに下に落とす)や上体起こし(両膝を立てて仰向けに寝て、おへそを覗き込むように頭を持ち上げる)など筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動のことです。最初は1セット10回程度からゆっくりと行います。運動する際は呼吸を止めず、深呼吸しながら行うように意識しましょう。
普段から運動習慣のない方にとって運動を始めるのは難しく、長続きしない可能性もあります。そういった方は、まずは外へ出かける機会を増やすなど、日常生活の活動量アップを目指しましょう。
これらの食事や運動について、日常生活でできることを取り入れてみてください。サルコペニアやフレイルを予防し、健康でいきいきとした生活を送りましょう。
理学療法士 中野朋之