ロボット医療の現在地

明けましておめでとうございます。今年は年号が変わることで、文字通り新しい時代が幕を開けますが、新時代に期待されるのは通信も含めAI・ロボット技術の革新でしょう。

医療ではすでに手術やリハビリで使われ始めたロボット技術は、iPS細胞などの一般的な再生治療でも大切ですが、注目したいのはマシンによる脳・脊髄の機能再生への活用です。脳の活動を読みとって機械や脊髄に伝える技術の研究では、頭の中でイメージするだけで、ロボットの腕を動かしたり、麻痺がある自身の手足を動かしたりできると発表されています。

自分で身体が自由に動かせないと、気分は落ち込みやすく、高齢では認知症にもつながります。ロボットでなくでも足こぎ車椅子などを活用すると、自分で動ける喜びを思い出し、日常生活動作(ADL)が全体的に改善するとされます。現在ロボット技術は費用や安全性の問題はありますが、近い将来に普及することで健康寿命を延ばし、ご家族や医療介護サービスの負担を軽減してくれるでしょう。

それまでに現場でできることは、一人一人の希望に柔軟に対応するため、ご家族とともにより風通しの良い医療チームを作っていくことだと感じております。
皆さま本年もどうぞよろしくお願い致します。

医師 矢尾板 亮